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裁判官のカウンセリングのかかわり方とは

裁判官がカウンセリングについてどのようにかかわるのかについて、次のような指摘がなされている(北洋純一判事「夫婦の倒産事件における支払い不能とそのおそれについて」『判例タイムズ』1280号)。「裁判官は、公平公正な立場から、適切な調整を行う必要がある。しかし、この職権行使は、民事再生法の中心的理念であり、破産法の一つの理念である債務者の経済的更生の見地から適正になされる必要があるのである。

それを越えた過度に家族教育的な見地からの行使は本来期待されていないはずであり(裁判官が家計アドバイザーとしての役割を担っているものではない)、また、望ましいものとも言えまい」「夫婦は、生活上の債務を弁済することについて一種の自律的裁量権を有していると解することができよう。したがって、裁判所は、上記の自律的裁量権を侵害しないように、その判断を尊重する方向で職権を行使すべきである」「申立人からの情報は断片的であるうえ、正確性に疑問がある場合も多い。

また、一般的に見て、裁判官は、フィナンシャルプランナーなど家計診断を行う専門的資格は有しておらず、そのような判断を可能とする十分な知見を有しているとは言えない」数年前まで、福岡地裁をはじめとして全国のかなりの裁判所で、破産手続のなかで集団審尋がなされていたが、いまや裁判所の手続のなかで教育的要素は期待されるべきではないとの考え方から、ほとんど実施されていない。その結果、今日では多重債務を抱え支払不能に陥った債務者が自己破産申立をしたとき、その多くは裁判所に一度も出頭することなく破産手続が開始し、まもなく免責が認められている。