記事一覧

面談を重ねる

債務整理を依頼した人との付合いが3年を超え5年以上に及ぶこともなんら珍しいことではない。もう消滅時効が完成しているのではないかというときでも、本人がなんとか少しずつでも返済していきたいというなら、それを支えたいと考えている。受任してすぐに裁判所に申立するのは、優秀なベテラン事務員を抱えているため、容易なことである。しかし、そんな「一丁上がり」方式でいいとは思われない。大量の債務整理案件を抱えていると必然的に事務職員を活用することになる。前述した日弁連の指針が出る前から、原則としてわたしが毎月1回、債務者(依頼者)と面談している。

このとき、家計収支表を前に置いて近況を報告してもらう。お茶を飲みながら世間話することも多い。「ここのお茶は美味しいですね」といってくれると、「ああ、お茶を味わうゆとりがもてるようになったんだな」と思う。面談するたびに顔つきが柔和になり、心からの笑顔をみせてくれる人に接すると、わたしまでうれしくなる。中立書の作成は担当の事務職員が扱う。もちろん、なんらかの問題が発生したときには、あらためて面談して債務者と協議する。また、クレサラ被害者の会(大牟田しらぬひの会)とも密接に連絡をとりあっている。

具体的には、依頼者に対する家計簿のつけ方についての指導は「しらぬひの会」の毎月の研修会に参加してもらう。研修会とは別に開かれる毎号1回の学習会は、必ずしも債務整理に絡むテーマとは限らない。「核兵器のない平和な世界を目指して」というテーマだったり、看護師を招いて健康チェックをしてもらったりすることもある。多様なテーマを企画しているのは、借金支払に追われて視野が狭くなっていた依頼者に、社会に広く目を見開いてほしいという願いからである。事件の大量処理と持続的な生活再建援助をいかに両立するか、法律事務所にとって現実にはなかなか困難な課題であるが、これからも両立できるように頑張っていきたい。